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腸を良い状態にすることで体が元気になるテクノロジー

生理前のイライラや体の不調に悩んでいる人は多いはず。ホルモンの乱れによって起こっている可能性があるようなのですが、これが毎月やってくると思うと気が滅入ってしまいますよね。

他にも、生理痛や内膜症や不妊など、女性にとって婦人科の悩みはついて回ります。自力での改善は難しいイメージがありますが、最近では腸内環境とホルモン安定の関係性が注目されていて、腸活することで婦人科の悩みが軽減する可能性があるという話も。

婦人科医の長谷川先生に詳しく伺いました。

―生理前にイライラしたり、眠くなったりするのはなぜですか?

いわゆるPMSですね。月経前症候群と呼ばれるもので、月経が開始する3~10日ほど前から現れる、身体的、精神的に不快なさまざまな症状のことです。原因は明確にはなっていませんが、女性ホルモンの変化が関与していると考えられています。
排卵から月経までの間(黄体期)はエストロゲン・プロゲステロンが多く分泌されますが、黄体期後期に入るとそれらが急激に低下することによりホルモンバランスが乱れて、PMSの症状が現れるのです。身体的な症状は腹痛や腰痛やむくみ、精神的な症状としてはイライラや眠気や無気力といったものも。これらの症状は月経が開始すると同時に改善するのが特徴です。」

前回、腸活は更年期障害への効果が期待できるとお話しいただきました。腸活でPMSも緩和しますか?

「繋がりはあると思います。女性ホルモンと腸は無関係のようにも見えますが、最近は婦人科でも“膣内フローラ”や“腸内フローラ”といった細菌叢が注目されていて、これが整うとエストロゲンの代謝が正常に行われやすくなると考えられています。腸内環境が整ってエストロゲンの代謝が上がることでホルモンが安定するので、ホルモンの変化から起こっているPMSの症状が軽くなる可能性はあります。」

―PMSといえばメンタル不調のイメージが強いですが。

「そうですね。PMS症状の中でも特にメンタル面で悩んでいる女性は多いです。『イライラや眠気で仕事に集中できない』という声も。女性のメンタルはホルモンに制御されていると言っても過言ではありません。ホルモンを一定にする薬を飲んでいる患者さんは『人生が変わった』と言うほど。“ホルモンの安定はメンタル”の安定です。」

―だから兎にも角にもホルモンの安定が重要なのですね。
生理痛や他の婦人科疾患にも影響がありますか?

「はい。ホルモンバランスが安定すると、免疫力が上がったり炎症を抑制する効果があり、生理痛や腰痛が緩和することも。また、子宮内膜症や膣炎といった炎症のリスクが下がるとも言われています。」

―ホルモンの安定は妊娠にも関わってきますよね?腸活と妊娠の関係は?

「もちろんです。正常なホルモンが出ていないと正常に妊娠はできません。当クリニックは不妊治療を多く行っていますが、ホルモンを安定させることが治療の基本です。
腸内環境が整う→エストロゲンの代謝が上がる→ホルモンが安定する
という流れなので、そういった意味では腸活と妊娠にも関係があるのではないでしょうか。
また、妊娠中はエストロゲンの分泌量が増えていきます。エストロゲンの安定=妊娠の安定とも言えるので、やはり腸内環境を整えておくことに越したことはないでしょう。」

―ずばり、腸活が不妊に効くと言えますか?

「現段階でエビデンスはないかと。しかし、“膣内フローラ”と妊娠についての関係性は論文でも発表されていています。“膣内フローラ”と“腸内フローラ”は密接に関係していると言われているので、腸内フローラと妊娠も何かしら関係があっても不思議ではありません。これからの研究に期待です。」

婦人科の悩みにはホルモンの乱れが密接に関わっているので、腸内環境を整えてホルモンバランスを安定させると症状も緩和するようです。

腸にいい食事を取り入れながら腸活を意識すると、少しずつ子宮周りの健康値も上がっていくのではないでしょうか。

今回教えてくれたのは…

  • ソフィアレディスクリニック院長 : 長谷川朋也

    ソフィアレディスクリニック院長。東京医科大学を卒業後、日本生殖医学会生殖医療専門医としてクリニックや総合病院で経験を積み、2019年にはアメリカ・ハーバード大学でも2年間学んだ経歴を持つ。不妊治療や婦人科疾患についての理解を深められる院長ブログも更新中。https://sophia-lc.jp/blog_cat/婦人科疾患/

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  • ライター

    井上さや

    元女性誌編集。子育て、ファッションから美容まで
    幅広い企画を担当。現在は経験を活かしてWEBを中心に執筆。
    3歳、6歳2児の子育て中。

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