日本の食文化に欠かせない「味噌」が、庶民にも普及したのは江戸時代。全国各地でご当地味噌が作られるようになりました。また、「味噌の医者殺し」という言葉は、味噌が栄養豊富であることに由来し、味噌を摂れば病気にならないという意味もあります。
今回は、そんな味噌を使ったお手軽メニューの「味噌汁」で、朝食の一杯として“最強の腸活味噌汁”を作るため、医師であり、食養の理念に基づくNPO法人日本綜合医学会の会長でもある、芦刈伊世子先生のお話を伺いました。
腸活と味噌汁の相性は抜群!
味噌は大豆と麹を原料に作られた発酵食品で、食物繊維をはじめ、消化を助ける栄養素が含まれています。食物繊維は、腸内細菌の中でも善玉菌のエサになり、その結果、短鎖脂肪酸が生成されることが注目されています。また、発酵・熟成した味噌には、サポニンやレシチン、イソフラボンなどのフィトケミカル(植物に含まれる健康維持に役立つ成分)も加わり、腸にとっても最適な食品です。そして、
✅整腸作用
✅糖質の消化吸収を遅らせる
✅免疫力アップ
✅コレステロール・血圧降下作用
などの効果があります。
朝に“腸活味噌汁”のススメ
朝に味噌汁を飲むといい理由は2つあります。
✅一日を元気に過ごせる
✅不眠症を改善・予防
朝ごはんの一杯の味噌汁が体を温め、目覚めをよくし、腸の働きを整えて一日を元気に過ごさせてくれます。
また、朝食に味噌汁を飲むと、不眠症改善・予防効果 があります。良質な睡眠をサポートするホルモン「メラトニン」は、味噌汁に含まれるトリプトファンによって安定して分泌されます。味噌汁のトリプトファンはメラトニンに変身しますが、変身までに16時間ほどかかるため、朝飲んでおくと寝るタイミングで良質な睡眠をサポートしてくれるのです。
ごはんなどの炭水化物と一緒に摂取すると、脳にもエネルギーが満たされて、疲れにくい体をキープできます。
組み合わせは無限大!“最強の腸活味噌汁”
善玉菌を増やす「食物繊維」を知る
腸活で大切なのは腸内の善玉菌を増やすこと。善玉菌の餌となるのは食物繊維です。善玉菌を増やす食材を知り、お好みでアレンジしてください。食物繊維には、水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維があり、どちらもバランスよく摂るのがおすすめ。また、たんぱく質を加えると、日々の体つくりにも最適です。
【味噌汁に最適な水溶性食物繊維5選】
コレステロールを吸着し、体外に排泄
大腸内で発酵し、ビフィズス菌が増えることで、整腸効果がある
- だいこん
- しいたけ
- まいたけ
- あおさ
- ピーマン
【味噌汁に最適な不溶性食物繊維5選】
腸を刺激して便通を改善する作用がある
ポイントはよく噛んで食べること
- ねぎ類
- さつまいも(皮ごと使うとよい)
- ほうれん草
- えのき
- しめじ
【味噌汁に最適なたんぱく質がとれる具材5選】
筋肉をはじめ、臓器、血液、皮膚など、体のあらゆる組織をつくる材料になる栄養素
- 卵
- 鶏肉
- ベーコン
- 豆腐
- 厚揚げ
各項目から1品ずつ食材を選び、それらを味噌汁の具材にしたら、“最強の腸活味噌汁”になります。その時、「食べたい!」と思ったものを選べばOK!
「5選×5選×5選」=「約125通り」の腸活味噌汁を作ることができます。
【味噌選びのポイント】
- 味噌は、麦味噌がおすすめです。麦味噌には、食物繊維やタンパク質、ミネラルなどが豊富に含まれています。
- 麦味噌が苦手な方は、合わせ味噌にするとおいしく召し上がれます。麦味噌(大さじ1)と他の味噌(大さじ1)で合わせ味噌に!他の味噌はお好きな味噌で構いません。
芦刈先生おすすめ、「時短」の味噌玉作り
忙しい方必見!手作りのインスタント味噌汁レシピ
毎日味噌汁を作るのは面倒という方には、味噌玉がおすすめです。味噌玉とは、手作りしたインスタント味噌汁のこと。食べるときは、お碗に入れてお湯を注ぐだけです。1食ずつラップに包み、冷凍用保存容器などに入れて冷凍すると、約1ヵ月保存できます。

【材料(1食分)】
- お好みの味噌 大さじ1
- かつお節(たんぱく質) 小さじ1
- 小葱(食物繊維) 1本
- 乾燥わかめ(食物繊維) 大さじ1
- 乾燥麸(たんぱく質) 3~4個
【食材選びのポイント】
✅味噌は何でもOK!
✅かつお節は高たんぱく質であり、美味しい出汁にもなる
✅乾燥わかめは、乾燥あおさでもOK!
【作り方】
- 用意した材料を合わせて混ぜる
- 1食分ずつ丸めてラップに包む
味噌×善玉菌を増やす食材で、腸活に特化したお味噌汁こそ、最強の腸活味噌汁。毎朝飲んで、日々の腸内環境を整えていきましょう!
今回教えてくれたのは…
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あしかりクリニック 院長 : 芦刈伊世子
医療法人社団 あしかりクリニック院長。医学博士。精神科・神経科・心療内科の診療のほか脳と心の予防センターを併設。2015年9月、東京都の委託で中野区の地域連携型認知症医療センター併設。メンタル不調、更年期障害、不眠症、認知症など様々な疾患の診断・専門治療をしている。NPO法人日本綜合医学会会長。著書には『365日、玄米で認知症予防 脳がよろこぶ、玄米・魚・野菜』(2016年)がある。
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