便秘に水を飲むことが効果的なことは周知かと思いますが、実は水の種類を選ぶと、より効果がアップするそう。便秘・下痢に効く水の種類と、便秘対策以外にも水が腸内環境の改善に必要な理由について、メディアでも大活躍中の江田クリニック院長・江田 証先生にお話を伺いました。
水が便意を呼び起こしたり、便を出やすくしてくれます
腸を整えるのに水は欠かせません。朝一に水を飲むことで、胃結腸反射が起きて腸の運動が良くなり、便意を催します。そして、便をやわらかくして出しやすくする効果も。冷たすぎる水だと腸がびっくりしてしまうので、常温〜白湯くらいがいいでしょう。

水の摂取は腸のバリア機能アップにも影響します
脱水傾向になると細菌そうが乱れて腸の粘膜を守っている粘液層が薄くなり、それによって腸のバリア機能が低下する恐れも。腸のバリア機能が落ちると、そこから細菌や毒素が侵入しやすくなるので、便秘対策以外の意味でも水を飲むことは重要なのです。
便秘には硬水を、下痢には軟水を
大腸のぜん動運動、便からの水分吸収、腸からの水分分泌という3つの働きが、便の状態を左右し、健康な人の便は80%が水分でできています。
便秘の人は腸のぜん動運動が鈍くなって水分吸収が進み、腸からの水分分泌も低下して、便の水分量が少ない状態です。硬水はカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが多く含まれ、浸透圧が高いため、腸内に水分を保持しやすくなります。その結果、便を柔らかくすることができて便秘改善に効果が。主な産地はヨーロッパですが、日本のスーパーでも購入することができます。
逆に、下痢気味の人は軟水がおすすめ。日本で主に飲まれている水で、ミネラル分が少なく口当たりがまろやかなお水です。カルシウムとマグネシウムの濃度が低めで腸を刺激しにくいため、腸が敏感な人は軟水を選ぶのが良いでしょう。

水以外の定番飲料の腸に与える影響は?
その他に腸活におすすめの飲み物は、緑茶。緑茶に含まれるカテキンがアッカーマンシア・ムシニフィラという善玉菌を増やすのに役立つことが分かっています。
コーヒーは腸を刺激するので、下痢や腹痛で悩んでいる人は控えましょう。1日1杯程度にとどめたり、薄めのアメリカンにして飲むのが◎。便秘の人にはコーヒーの刺激がちょうど良く働いてくれるかもしれません。
お酒もNGではありません。糖を含むラム酒やりんご酒などの甘いお酒は避け、ウィスキーやビール、日本酒を選ぶのが望ましいです。いずれにしても、腸管の動きを刺激するので、飲み過ぎは注意です。
腸が不調の人にとってのベストは水ですが、それだけでは味気なかったりストレスが溜まるようなら、レモンやライムなどの低FODMAP※の果物を絞って入れてみるのがおすすめです。緑茶も腸にとても良いので、便秘気味の人は硬水で緑茶を入れてみてもいいかもしれません。
(監修:江田証先生)
※低FODMAPは、小腸で消化吸収されにくい糖質(FODMAP)の含有量が少ないこと。
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今回教えてくれたのは…
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江田クリニック院長 : 江田証
医学博士。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。栃木県にある江田クリニックの院長を務める一方、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)などテレビやラジオ、雑誌などに多数出演。著書に19万部を超えたベストセラー『新しい腸の教科書』(池田書店)のほか、『すごい酪酸菌』(幻冬舎)、『腸のトリセツ』(Gakken)など多数。
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