日常的に口にするコーヒーが、腸に良い影響を与えることをご存じでしたか?一般社団法人予防医療研究協会の理事を務め、腸活の正しい知識を広める活動をされている“腸活王子”ざっきーさんに、今回はコーヒーと腸活の関係について伺いました。
コーヒーが腸活に良い理由
2024年に発表された大規模研究では、コーヒーを飲む人の腸内には酪酸をつくる細菌が多く存在することが分かりました。
酪酸は短鎖脂肪酸の一種で、腸内の炎症を抑えたり、バリア機能を高めたりと、腸の健康に欠かせない成分です。特にコーヒー愛飲者は、まったく飲まない人に比べてこうした菌が3倍以上多いという報告もあります。(※1)
さらに、ビフィズス菌の増加も確認されています。ビフィズス菌は整腸作用でよく知られる善玉菌で、腸内フローラのバランスを整え、便通改善にも役立つ存在。(※2)
つまり、コーヒーは腸内の「良い菌たち」を後押ししてくれる飲み物なのです。
(※1)Paolo Manghi et al,Nature Microbiology volume, 9, pages3120–3134, 2024
(※2)Muriel Jaquet et al,Int J Food Microbiol,130(2):117-21,2009 Mar 31
コーヒーには腸活に良いポリフェノールが豊富!
さらに、腸活におすすめの理由は、コーヒーにたっぷり含まれているポリフェノールです。主となるのは、クロロゲン酸。抗酸化作用で知られていますが、実は腸内環境にもプラスの影響を与えてくれます。ポリフェノールは腸内細菌のエサとなり、善玉菌をサポート。さらに腸内で分解される過程で短鎖脂肪酸が増えることが期待でき、腸のバリア機能や炎症抑制にもつながります。つまり、ポリフェノールを含むコーヒーを日常的に飲むことで、腸に良い変化を感じられる人もいます。(※3)
(※3)Paolo Manghi et al, Nature Microbiology volume 9, pages3120–3134 (2024)
腸活には浅煎りがおすすめ、胃腸が弱い人には深煎りでも◎
浅煎りコーヒーはポリフェノール(クロロゲン酸)が豊富で腸内環境にプラス。ただし酸味が強く、胃腸が弱い人には刺激になることも。深煎りコーヒーは、ポリフェノール量は浅煎りより減りますが、酸味が少なく刺激がマイルドで飲みやすい利点もあります。(※4)
(※4)Josiane Alessandra Vignoli et al,Food Research International Volume 61,Pages 279-285,July 2014
コーヒーならではの強みはオリゴ糖との相乗効果
紅茶やハーブティーにもポリフェノールは含まれていますが、コーヒーの特徴はオリゴ糖も一緒に摂れる点。オリゴ糖は善玉菌の代表であるビフィズス菌の大好物。ポリフェノールとオリゴ糖の両方を一度に摂れるコーヒーは、腸活飲料として見直したい存在です。
腸活に良い飲み方のコツ
- 1日3〜4杯までが目安(5杯以上は胃酸過多や逆流性食道炎リスクが上昇)
- 午前〜昼に摂取(夜は睡眠の質を下げる可能性)
- 空腹時は避ける(胃酸分泌が過剰になり腸に負担をかけることも)
- ホットコーヒーがおすすめ(アイスでも問題はないが、胃腸に優しいのはホット)
- カフェインを除去したデカフェやカフェインレスでも効果あり(睡眠リスクを避けながら腸内環境を整えられる)
- 豆乳割りも腸活に良い(コーヒーの整腸作用に加え、豆乳の大豆オリゴ糖が腸内細菌を増やし、相乗効果が期待できる。ただし、鉄分の吸収を妨げるため、鉄分の多い食事と一緒に飲むのはNG)

コーヒーは体質によっては下痢、便秘、胃の不調も引き起こすことがあります。自分の体質や健康状態に合わせて、飲む時間や量を工夫して飲みましょう。豆乳やデカフェを取り入れることで、より安心して飲むことができます。
コーヒーを、ただの嗜好品と捉えるのではなく、「いつもの一杯が腸を整える習慣のひとつ」として見直してみてはいかがでしょうか。
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今回教えてくれたのは…
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ライター
浜口 順子1985年大阪生まれ。 2001年芸能界デビュー。芸歴20年を迎えた時、人生を改めて見つめ直し、高校生からずっと憧れていた放送作家への道を進むことに。 今は、「書けて話せる」ハイブリッドな人を目指して奮闘中! 腸活は体も心も元気でいるために、ずっと興味がある永遠のテーマ。現在育児中でもあるので、子どもの健康や腸活も気になっています。
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