×

腸を良い状態にすることで体が元気になるテクノロジー

「水分をしっかり摂っているのに便秘になる…」「食べ物も意識しているのに便秘が改善されない…」そんな悩みを抱える方も多いのでは?便秘の原因は体質や病気によるもの、生活習慣に関わるものなど多岐にわたります。今回はその中でも、生活習慣に関連する3つのタイプに注目し、それぞれに合った対処法をご紹介します。“便秘改善のプロ”として多くの人をサポートしてきた、腸の学校®︎代表で管理栄養士の加勢田千尋先生に、便秘の原因と便秘タイプ別の正しい対処法を教えていただきました。

便秘による悪循環、肌や心にも影響が出る

便秘が続くと、腸内の悪玉菌がアンモニアやアミン、硫化水素などの有害物質や発がん性物質を作り出します。腸内にある便は腐るだけでなく、腸内で作られた有害物質は腸内で吸収されて、血液にて全身に運ばれ、その結果…
・肌荒れ・免疫力の低下・メンタルの乱れ
・肝臓がん・糖尿病・動脈硬化などの病気

を引き起こすかもしれません。

出典:松岡 豊1)ら,精神神経学雑誌,118(12),880-894,2016から改変
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1180120880.pdf

便秘セルフチェック方法!代表的な便秘のタイプは3つ

自分の便秘タイプを知るには、日常の排便状態を観察することが第一歩です。排便頻度が一般的に3日に1回程度なら「便秘」とされます。ただし、毎日出ていてもスッキリしなければ「便秘」とされます。その理由として、日本消化器病学会関連研究会による便秘の定義は“本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態"とされているからです。
便秘が長年改善しないのは、体質だけが原因とは限りません。食生活や生活習慣など、いくつかの要因が重なっていることもあります。まずは2週間、自分の便秘タイプに合う対処法を継続してみてください。それだけで体調の変化を実感できるかもしれません!

こんな人がなりやすい

  • 運動不足の人(1日6000歩未満)
  • 便を押し出すための腹筋が少ない人
  • 事務職・座りっぱなしの生活
  • 長年、市販の便秘薬(特に刺激系)を服用している人

便の特徴:
ドンと固まった便がまとまって出る

対処法:
✅毎日6000歩以上のウォーキング(難しければ室内散歩や足のマッサージでもOK)
✅ 腹筋を鍛える(お腹に力を入れて歩くだけでもOK)
✅腹巻きや入浴でお腹を温める
✅ 腸マッサージ(お風呂でお腹あたりをやさしく円を描くように「“の”の字」マッサージをする)

✅ 動きが悪い腸に食物繊維を入れるとさらに動きが悪くなるため、食物繊維が多いものを食べ過ぎない(玄米や根菜類など)
✅おすすめ食材:オリーブオイル(オレイン酸)や酒かす(レジスタントプロテイン)など、腸の動きをよくするとされる食べ物

こんな人がなりやすい

  • 会議や仕事でトイレに行きづらい人
  • 忙しくて便意を我慢しがちな人
  • 小さなお子さんのお世話をされている方など

便の特徴:
色がグラデーション状、急にドバッと出る、匂いが強い

対処法:
✅便意を感じたら10分以内にトイレへ!
✅朝に出るように固定するため、毎朝トイレに「3分間座る」習慣を作る
✅朝起きてコップ1杯の水→朝食→散歩する(足を動かして日の光を浴びる)というルーティンを
✅落ち着ける時間にトイレタイムを作る
✅水分を1日1.2L以上目安に摂る
✅おすすめ食材:酒かす

こんな人がなりやすい

  • ストレスを抱えやすい人
  • 冷たい飲み物・揚げ物・刺激物をよく摂る人
  • 便秘と下痢を繰り返す人

便の特徴:
コロコロ便または下痢

対処法:
✅睡眠をしっかりとる(7時間目安)
✅リラックスの時間を作る。(例えばゆっくり入浴、難しければ瞑想もおすすめ)
✅腸への負担になるものを避ける(食物繊維が多すぎるもの、アルコール、刺激物、冷たいものなど)
✅おすすめ食材:加熱野菜、味噌汁など温かいもの
✅生野菜・玄米・根菜類は一旦避ける
✅消化にやさしいものからスタートし、徐々に雑穀や根菜に移行する

実は1番多いのが“混合型”

実際は、上記の複数のタイプが重なっている“混合型”の方がほとんど。そんな場合は、まずは消化に優しい食事から始めて、少しずつステップアップするのがポイント。まずは“具材をクタクタに煮た味噌汁”を食べてみてください。腸にやさしいものから始めると、自然に腸が動き出してきます。

睡眠不足のほかにホルモンバランスも便秘の原因に

便秘には「体内時計の乱れ」や「睡眠不足」などの生活リズムの崩れも原因の一つと言われています。特に、寝ている間に便は作られるので、夜型の生活や起床時間のバラつきは腸の動きを鈍らせてしまいます。どんなに良いものを食べていても、睡眠が不足していれば便そのものが作られないので、便秘になってしまいます。
女性の場合、月経周期や妊娠、更年期などでホルモンバランスが変化し、便秘が起こりやすくなります。例えば、黄体ホルモン(プロゲステロン)の増加は腸の運動を抑制し、便秘を引き起こしやすいです。ホルモンバランスの変化で腸の動きが悪いタイプの便秘になる可能性もあります。関係があることをまず知っておくことが大切です。

便秘は、ただの一時的な不調ではなく、腸内環境や全身の健康に深く関わる大切なサインです。今回ご紹介したように、体質だからとあきらめず、ご自分の便秘タイプを知り、まずは2週間、自分にできることから始めてみてください。日々の小さな積み重ねが大切ですね。

今回教えてくれたのは…

  • 一般社団法人日本腸内環境食育推進協会代表理事/腸の学校®主催/管理栄養士 : 加勢田千尋

    幼い頃からアトピーや腸の不調に悩まされ続けた経験を活かし、病院・企業にて、7,000人以上の栄養指導・食事アドバイスを行う。独立後、日本で唯一の腸の学校®を監修・運営する。
    書籍 :『「やせ玉」腸活ダイエット』(主婦と生活社)
    TV出演 : 『ヒルナンデス!』・『主治医が見つかる診療所』など
    雑誌: 『anan』『CanCam』 など

    Ameba ブログ
    Instagram:@jiaa0615

    記事一覧へ

キーワード
  • ライター

    浜口 順子

    1985年大阪生まれ。 2001年芸能界デビュー。芸歴20年を迎えた時、人生を改めて見つめ直し、高校生からずっと憧れていた放送作家への道を進むことに。 今は、「書けて話せる」ハイブリッドな人を目指して奮闘中! 腸活は体も心も元気でいるために、ずっと興味がある永遠のテーマ。現在育児中でもあるので、子どもの健康や腸活も気になっています。

    このライターの記事一覧へ

記事をシェア