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腸を良い状態にすることで体が元気になるテクノロジー

前回、神奈川歯科大学大学院 槻木恵一教授に口腔環境と腸や全身の健康との関わりについてお話をしていただきました。今回は、槻木教授に歯周病と腸の関係についてお聞きします。腸内環境を守る、唾液力アップの秘訣も教えていただきました。

新事実!歯周病菌は腸まで届く?口内環境と腸内環境の密接な関係

これまで、口内の細菌は胃酸で死滅すると考えられていましたが、一部の研究では、歯周病菌が胃酸を乗り越えて腸に届く可能性が示されています。歯周病菌が腸内環境を乱し、炎症を引き起こしたり、大腸がんのリスクを高める可能性も指摘されています。

腸活で体の防衛力を強化!唾液力アップで歯周病予防&腸を守る!

前回のおさらいですが、唾液には口内の菌やウイルスの活動を抑える免疫抗体IgAが含まれています。最近の研究で、食物繊維を摂取すると大腸で発酵が起こり、短鎖脂肪酸が生成され、さらに唾液に含まれるIgAも増えることが示されています。
唾液に含まれるIgAは、粘膜免疫の一翼を担い、口腔内で歯周病菌に対して働くので、歯周病菌を飲み込んだ際にも結果として腸への悪影響を軽減してくれる、いわば“体の第一防衛ライン”でもあります。
さらに、唾液の働きが歯周病予防や腸内環境の維持に貢献することもわかってきました。唾液力アップも腸活の一つと言ってもいいのではないでしょうか。

歯周病を防ぐ=腸内環境を守る日常の生活習慣

IgAを増やすためには、発酵食品や食物繊維を毎日しっかり食べ続けることが大切だと学びましたが、その他にも日常で簡単にできる、腸活につながる唾液力アップへのポイントがあります。

唾液は血液から作られています。体に入った水分は血液の中に取り込まれ、その血液が唾液のもとになります。水分が足りないと血液の量も減ってしまい、唾液も作られにくくなります。体に水分をしっかりと補うことが、唾液を増やすために大切なのです。体重や活動量によって適切な水分量は異なりますが、目安として1日1L以上の水分をこまめに補給しましょう。

過度な運動は唾液中の免疫抗体を30%以上減らすという研究報告も。腸内環境を守り、免疫力を高めたいなら、軽いストレッチやウォーキング中心の運動がおすすめです。

唾液の分泌には筋力も関係しています。口周りの筋トレやマッサージは、唾液の分泌量が減る傾向がある中高年層に特におすすめの習慣です。

左)唾液腺マッサージ:あごの下から輪郭に沿って上に向かって耳の下を押す
右)ベロ回し体操 

口の中が不潔だと、唾液に含まれるIgAの働きが弱まり、外からの病原菌だけでなく、口内の悪玉菌が増加しやすくなります。食後の丁寧な歯磨きを意識することで、IgAの働きを損なわず、腸内環境と健康を守ることができます。

腸活・口内環境の改善に期待されるパクチー

実はパクチーには、腸内の善玉菌のエサとなる食物繊維が含まれており、腸内フローラのバランスを整える効果が期待されています。また、消化酵素の分泌を促す成分も含まれており、胃腸の働きをサポートしてガスの排出を助け、便通の改善にも役立ちます。さらに、パクチーには抗菌・抗炎症作用があり、腸内の悪玉菌の増殖を抑える働きもあります。加えて、体内の老廃物を排出し、腸内環境の改善にも貢献する働きがあるとされています。

また、パクチーに含まれるリナロールなどの精油成分は強い香りを持ち、嗅覚神経を通じて唾液腺を刺激し、唾液の分泌を促すとされています。また、これらの精油成分には抗菌作用もあり、口内のニオイの原因菌を抑える効果が期待できます。

日々の食事に、万能なパクチーをうまく取り入れてみてはいかがでしょうか。

歯周病になると腸内環境が悪化するという、驚愕の関係がわかりました。口腔ケアは、腸を守る“最前線の習慣”。毎日の小さな積み重ねが大切ですね。今日からできる“唾液力アップ習慣”を取り入れて、腸も体も健康に保ちましょう!

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今回教えてくれたのは…

  • 歯科医師 : 槻木恵一

    特定非営利活動法人日本唾液ケア科学会理事長。神奈川歯科大学大学院口腔科学講座環境病理学教授。1967年東京都生まれ。1993年神奈川歯科大学歯学部卒業。1997年同大学大学院歯学研究科修了歯学博士。2007年より同大学教授。専門分野は環境病理学。プレバイオテックスの一種であるフラクトオリゴ糖の継続摂取による唾液中IgAの分泌量増加とともに、そのメカニズムとして腸管内で短鎖脂肪酸が重要な役割を果たすことをあきらかにし、「腸―唾液腺相関」を発見した。ホンマでっか!TV、予約殺到!スゴ腕の専門外来SP、めざましテレビなどのメディアにも出演。

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  • ライター

    浜口 順子

    1985年大阪生まれ。 2001年芸能界デビュー。芸歴20年を迎えた時、人生を改めて見つめ直し、高校生からずっと憧れていた放送作家への道を進むことに。 今は、「書けて話せる」ハイブリッドな人を目指して奮闘中! 腸活は体も心も元気でいるために、ずっと興味がある永遠のテーマ。現在育児中でもあるので、子どもの健康や腸活も気になっています。

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