腸内環境のバランスが崩れると、便秘や肌荒れなどさまざまな不調を引き起こすため、腸内環境を整えることはとても大切です。そんな腸内環境のバランスを整えてくれる食材として注目されているのが「はちみつ」。
今回は、薬剤師であり養蜂家としても活躍中の今井健二さんにはちみつが腸に良い理由について伺いました。
はちみつを食べると、腸内で善玉菌が優位になる

はちみつは、ミツバチが花の蜜を採取し、巣の中で加工・貯蔵した天然の甘味料です。はちみつの主成分はブドウ糖と果糖ですが、その他の成分として含まれる2つの栄養成分「オリゴ糖」「グルコン酸」が、腸内環境に良い影響を与えると言われています。
腸内環境を良くするためには、善玉菌を増やし、悪玉菌を抑制することが必要です。はちみつに含まれている「オリゴ糖」や「グルコン酸」には、善玉菌を増やして悪玉菌の増殖を抑制する働きがあります。善玉菌が腸内で優位になると、腸のぜんどう運動が適度に促進され、便秘の改善などにもつながります。
1日5gのはちみつで便秘改善

駒沢女子大学が行った高齢者を対象とした「はちみつと便秘予防」の国内試験では、アカシアはちみつを 1 日 5 g または 10 g 摂取したグループでは12 週間後に排便回数・量・便性状が有意に改善しました。
研究では、摂取量による大きな差は見られず、1日5gでも便秘が改善することがわかりました。これにより、1日5g(小さじ1杯程度)のはちみつを3か月続ければ、便秘の改善が期待できるといえます。
出典:松戸典文,駒沢女子大学研究紀要【人間健康学部・看護学部編】,第1号,83-91,2018から改変
https://core.ac.uk/download/pdf/231061271.pdf
はちみつは「短鎖脂肪酸」を生成する働きを助ける食材!

最近の研究により注目されているのは「短鎖脂肪酸」です。短鎖脂肪酸は、善玉菌が発酵性食物繊維をエサとして分解する過程で作られる有機酸のこと。代表的なものとして、「酪酸」、「プロピオン酸」、「酢酸」があり、それぞれ腸内環境の改善に重要な役割を持っています。(参考:腸活の新キーワード!“レジスタントスターチ”と“短鎖脂肪酸”に注目せよ!)
しかし、現代の食生活では、腸内細菌のエサが不足しており、短鎖脂肪酸の生成が十分に行われない場合があります。そこで、短鎖脂肪酸の生成につながる食材「はちみつ」をおすすめするわけです。はちみつに含まれるオリゴ糖が腸内細菌のエサとなり、短鎖脂肪酸を生成する働きを助けてくれます。
今回は、はちみつが腸に良い理由についてお伺いしました。ミツバチは昆虫の中でもとても賢く、驚くほどきれい好きなので、私たちは採れたてのはちみつを安心して味わえるのだそうです。
はちみつは、1日5gで腸活になる手軽な健康食品。ミツバチの働きに感謝して、日々の生活に取り入れていきましょう。
※はちみつは乳児ボツリヌス症の原因となることがあるため、1歳未満のお子さまには絶対に与えないでください。
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今回教えてくれたのは…
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薬剤師・養蜂家 : 今井健二
人とミツバチと自然がつながる社会を目指すプロジェクト「ハチ活TeamBee」を主宰。都市養蜂を軸に、蜜源植物の植栽や採蜜体験を通じて、命をはぐくむ地域の輪を全国へ広げている。また、現在パートナー企業を通じて大学機関とミツバチの管理や生態について共同研究を行っている。
HP : ハチ活Team Bee
X:@Tenjikuouプロフィール写真撮影:瀧澤晃一
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