『1日5gのはちみつで腸活!』の記事よると、腸活のためにも「はちみつ」には積極的に摂りたい成分が豊富なことがわかりました。しかし、はちみつと言っても一言では語れないほど多種多様な商品があります。
今回も、薬剤師 兼 養蜂家の今井健二さんにはちみつを手軽に取り入れるための選び方や食べ方について伺いました。
腸内環境を考えたはちみつの選び方

はちみつは産地や種類、製造方法によって成分などに違いがあります。腸内環境を考えてはちみつを選ぶポイントは2つ!
✅非加熱(低温処理)であること
✅糖液や香料などを加えていないこと
腸活を目的とする場合には、はちみつはできるだけ「採れたまま」に近いものを選びましょう。高温で加熱すると、はちみつに本来含まれている酵素は失活しやすく、一部のポリフェノールは酸化・分解されてしまいます。また、はちみつ自体の風味も損なわれやすくなります。
また、ブドウ糖液などを混ぜた加工品では、本来のオリゴ糖や微量な栄養素が薄まってしまうため、ラベルの原材料名が「はちみつ」だけになっているかを確認し、自然のままのはちみつを選んでください。
養蜂家が解説!腸内環境に好影響をもたらす「はちみつ」
✅手軽に腸活するためのおすすめは「百花蜜」

はちみつの主成分はブドウ糖と果糖で、これらは体に素早く吸収され、エネルギー源となります。その他、オリゴ糖や有機酸(グルコン酸が最多)、アミノ酸、ミネラルなどの栄養成分も含まれており、これらが腸内の善玉菌を優勢にしてくれると言われています。
おすすめは「百花蜜」と呼ばれるはちみつ。ミツバチの行動範囲は巣から約3km四方で、その圏内にさまざまな花が咲いている場所で採れた百花蜜は、季節の花々から作られた豊かな風味となります。
はちみつ以外にも腸活に役立つミツバチのチカラ
✅「ローヤルゼリー」でプロバイオティクス効果をアップ

ローヤルゼリーは、働きバチの腺から分泌される栄養素で、女王蜂の主要なエサとして与えられます。必須アミノ酸を含む20種類以上のアミノ酸、ビタミンB群を中心とした10種類以上のビタミン、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄などのミネラルなど40種類以上の栄養素がバランス良く含まれています。味はヨーグルトのように酸っぱいので、はちみつと混ぜて食べると酸味がマイルドになって食べやすくなります。また、腸活としてもプロバイオティクス効果(腸内環境を改善し、体に良い影響を与える効果のこと)がアップします。
✅「プロポリス」は腸内の善玉菌の増加や悪玉菌の抑制に役立つ!

プロポリスは、ミツバチが植物の新芽や樹脂などの分泌物を集め、ミツロウや酵素と混ぜて作ったものです。主要成分はフラボノイド類などで、養蜂産品の中でも抗菌・抗炎症作用が強く、腸内の善玉菌の増加や悪玉菌の抑制に役立ちます。
おすすめは、薬を飲むイメージで、3〜5滴を水やぬるま湯などに溶かして飲んでください。
また、はちみつ以外にも養蜂場には腸活に取り入れたい注目の食材があります。
✅「ビーポーレン」には腸活に欠かせない食物繊維なども豊富!

ビーポーレンは、ミツバチが花から集めた花粉を唾液や蜜で固めて作った「花粉団子」のこと。ミツバチはこれを巣に持ち帰り、自分たちの食料やローヤルゼリーの原料として利用しています。ヨーロッパでは「自然の完全食」と呼ばれることがあります。
ビーポーレンの花粉の細胞壁には食物繊維が含まれており、タンパク質や体内で作れない必須アミノ酸を含む20種類以上のアミノ酸がバランス良く含まれています。腸内環境を整える上でも食物繊維は大切な栄養素。採れる花の種類や産地によって味は異なりますが、ヨーグルトやはちみつなどと混ぜると食べやすくなります。
※ビーポーレンを摂取する際は、食物アレルギーがある場合は医師に相談し、妊娠中・授乳中の方、および1歳未満のお子さまには与えないようにしましょう。アレルギー体質でない場合でも、体質によってはアレルギー症状を引き起こす可能性があるため、少量から試すことが重要です。
また、高温多湿を避けて保管し、開封後は湿気に注意して早めに使い切るようにしましょう。
養蜂家直伝!はちみつをおいしく簡単に摂る方法
私が主宰している「ハチ活Team Bee」で流行っている食べ方が、腸活にもおすすめです。1日5gのはちみつをあっという間に摂れてしまうんです。
✅トマトはちみつ

トマトは、体を潤す効果がある食材として知られています。
ミニトマトを湯むきしてはちみつに一晩漬けるととてもおいしいです。すぐに食べたい場合は、湯むきしたミニトマトにはちみつをかけるだけでも美味!トマト特有の酸味と、はちみつのまろやかな甘みが互いを引き立て合い、深みのある味わいになります。はちみつにはトマトの酸味を和らげる効果があり、生のトマトが苦手な方でも食べやすくなります。
トマト以外にも、「酸っぱい食材」(レモン、柑橘類など)にはちみつをかけて食べることもおすすめです。
✅はちみつコーヒー

「はちみつコーヒー」と言っても、コーヒーの中にはちみつを入れるのではありません。まず、コーヒーをひと口味わいます。その後、スプーン一杯のはちみつを口に含み、唾液でゆっくり溶かし、口の中ではちみつの甘みや香りの広がりを感じたら、コーヒーを口の中に注ぎ、はちみつとのハーモニーを楽しみます。
この方法で飲めば、コーヒーの酸味や苦みが緩和されるので、1日5gの摂取が楽になります。
「はちみつ」と一言で言っても蜜源や花により、味や香りも異なります。お好みのはちみつを見つけることも、腸活を楽しく続けていくためのひとつになりそうです。
※はちみつは乳児ボツリヌス症の原因となることがあるため、1歳未満のお子さまには絶対に与えないでください。
あわせて読みたい
今回教えてくれたのは…
-
薬剤師・養蜂家 : 今井健二
人とミツバチと自然がつながる社会を目指すプロジェクト「ハチ活TeamBee」を主宰。都市養蜂を軸に、蜜源植物の植栽や採蜜体験を通じて、命をはぐくむ地域の輪を全国へ広げている。また、現在パートナー企業を通じて大学機関とミツバチの管理や生態について共同研究を行っている。
HP : ハチ活Team Bee
X:@Tenjikuouプロフィール写真撮影:瀧澤晃一
記事をシェア