×

腸を良い状態にすることで体が元気になるテクノロジー

真夏の疲れと朝晩の冷え込みが重なり、腸に負担がかかり始める秋。
そんな秋の腸を労わって、免疫力を高め、冬の不調や感染症に備えるには「秋からの腸ケア」が欠かせません。日本消化器病学会専門医で腸内フローラにも精通する工藤あき先生が、秋から始められる腸内環境を整えるための食材・生活習慣・意識のポイントを教えてくれました。

秋は“夏バテの後遺症+寒暖差”で腸が疲れる季節

夏に冷たい飲み物や食べ物をとりすぎたり、冷房の効いた室内で長時間過ごしたりすると、腸は想像以上に冷えて疲れています。そこに朝晩の冷え込みや日中との寒暖差が加わる秋は、自律神経が乱れやすく、便秘や下痢、肌荒れ、気分の落ち込みといった不調が増える時期です。
腸内環境の乱れから免疫力が落ち、風邪や感染症にかかりやすくなってしまいます。

免疫力の土台を秋のうちに整える

腸は全身の免疫細胞の約7割が集まる場所です。秋のうちに腸を整えておくことで、冬のインフルエンザや胃腸炎などの感染症に対しても防御力が高まります。
そして腸のバリア機能を強化するには、腸内細菌が作り出す「短鎖脂肪酸」が重要です。
これは主に発酵性食物繊維をエサにして腸内細菌が生み出すもので、免疫細胞の活性化や炎症の抑制にも関わります。

短鎖脂肪酸を増やすには、まず発酵性食物繊維を含む食材を意識することが大切です。
秋なら、やはりきのこ類。腸内細菌のエサとなる食物繊維が豊富に含まれており、短鎖脂肪酸の生成を後押ししてくれる存在です。
そこに合わせたいのが鮭。鮭そのものに食物繊維は含まれませんが、良質なたんぱく質やオメガ3脂肪酸が豊富で、腸の粘膜を守り、腸内環境を健やかに整えてくれます。
つまり「きのこで短鎖脂肪酸を作り、鮭でその働きやすい土台を整える」という組み合わせが、秋ならではの腸活メニューになるのです。

私がよく提案するのは、鮭ときのこのホイル焼きやムニエル、きのこたっぷりの味噌汁や鍋料理。
温かい料理は腸の血流を促して動きを活発にし、さらに発酵食品の味噌を加えれば、腸内細菌の多様性までサポートできます。

今日から始められる!医師が実践する“腸を守る簡単3習慣”

私は朝食をとる前に、必ず歯を磨きます。腸活は「良い菌を入れる」ことが大切ですが、実は「悪い菌を入れない」ことも同じくらい重要です。寝ている間に口の中には細菌が繁殖しているので、そのまま食事をすると腸に不要な菌まで運んでしまいます。だからこそ、まずは口を清潔にしてから朝ごはんを食べるようにしているのです。

飲み物は、できるだけ常温を心がけています。腸は冷たいものを受け取ると、体温に近づけるために余計なエネルギーを消費してしまいます。酵素が一番働きやすいのは体温に近い温度なので、常温の水やお茶の方が腸にやさしく、消化もスムーズに進ませてくれます。

また、白ご飯はもちろん、秋が旬のさつまいもは「一度冷やす」工夫をしています。
白ご飯やふかした芋を冷ますとレジスタントスターチが増えます。レジスタントスターチは腸内細菌の大好物で、腸内で発酵して“短鎖脂肪酸”をつくり出すエネルギー源になります。
冷めたおにぎりやお弁当のご飯も立派な腸活食材。いったん冷やした後なら、温め直してもレジスタントスターチは残るので、私は普段から冷凍ご飯を常備して活用しています。
こうした小さな習慣を積み重ねるだけでも、腸は確実に応えてくれます。
風邪をひきやすい冬に向けて、秋からの腸活で免疫力を上げていきましょう。

あわせて読みたい

今回教えてくれたのは…

  • 一般内科医 : 工藤あき

    一般内科医として地域医療に貢献する一方、消化器内科医として、腸内細菌・腸内フローラに精通。腸活×菌活を活かした美肌・エイジングケア治療にも力を注いでいる。日本消化器病学会専門医・日本消化器内視鏡学会専門医。その美肌から「むき卵肌ドクター」の愛称で親しまれている。

    Instagram : @_kudo_aki_
    note : @kudou_aki
    HP : 工藤あき official site

    記事一覧へ

キーワード
  • ライター

    田口 拓矢

    北海道の網走という田舎町から上京後、放送作家としてバラエティ番組を中心に約10年活動。業界特有の『不健康生活』という名の”劣悪監獄”から脱獄を目指し、様々な健康法を日々チャレンジ中!

    このライターの記事一覧へ

記事をシェア