インフルエンザが猛威をふるう季節。
実は腸は、全身の免疫を支える“司令塔”だと言われています。
日本消化器病学会専門医で腸内フローラにも精通する工藤あき先生が、医師の視点から「インフルエンザ対策としての腸活」のポイントを教えてくれました。
秋冬の感染症は“腸の冷え”から始まる

秋冬はどうしても感染症が流行します。理由の1つとして、寒さが腸内環境にも影響してしまうからです。
実際、腸に寒冷刺激が加わると腸内細菌のバランスが崩れ、特定の菌ばかり増えたり減ったりすることがあります。その結果として、腸内で炎症が起きやすくなり、インフルエンザなど感染症のリスクが高まってしまうのです。
“30品目ルール”で腸にもダイバーシティを!

インフルエンザ等の感染症から身を守る腸を育てるには、腸の健康に良い影響を与えるビフィズス菌や乳酸菌などの菌そのものを摂ること、そして菌のエサになる食物繊維を摂ること。この2つが基本です。
ただし重要なのは“多様性”。菌にもいろんな役割があるので、食べ物を偏らせずに、いろんな種類を摂ることが大事です。
例えば「食物繊維=きのこばかり」だと、きのこが好きな菌しか増えません。
だから私は“1週間で30品目”を目安に、少量ずつ多彩な食材を取り入れることを勧めています。
それぞれの菌に働いてもらうことで、腸全体の防御力が底上げされるのです。
冬は“塩分過多”に要注意!外食時は「野菜ファースト」のチョイ工夫で腸を労わる!

秋が深まるこれからの季節は、肌寒さとともに食欲も増してくる季節。秋の味覚に始まり、ハロウィンや秋祭りなどのイベント、さらに年末に向けて外食の機会も少しずつ増えていきます。
この時期から意識しておきたいのが“塩分過多”です。ついつい塩分を摂りすぎてしまうことも多い季節だからこそ、腸を守るちょっとした工夫が欠かせません。
塩分過多は腸内環境の悪化にもつながるので、意識的にバランスを取る必要があります。
私が実践しているのは、居酒屋に行ったら最初にキャベツなどの野菜を注文すること。生野菜や果物にはカリウムが多く含まれていて、余分な塩分を体の外に出すのを助けてくれます。
外食のときこそ、こうした小さな工夫が腸を守るカギになります。
それでもインフルにかかったら・・?腸を休ませ、回復はやさしい一口から

ここまで感染症対策についてお話してきましたが、いくら気をつけていても、かかってしまうことはあります。
そんなときに「食欲ないけど何か食べなきゃ…」と無理に食べるのは逆効果になります。
胃腸症状がある場合は、腸の粘膜が荒れているので食べても吸収しきれません。病院での治療も「絶食」が基本になることがありますが、私も「腸を一旦休める」イメージで、安静にさせることを勧めています。水分、できれば経口補水液を摂ることを最優先にし、症状が落ち着いてから消化にやさしい食事に戻していく。そうすることで腸は回復し、体力も戻っていきます。
寒さに揺らぎやすい季節だからこそ、腸を守ることが自分自身を守ることにつながります。この冬、“腸の底力”を味方に、健やかな毎日を過ごしましょう。
あわせて読みたい
今回教えてくれたのは…
-
一般内科医 : 工藤あき
一般内科医として地域医療に貢献する一方、消化器内科医として、腸内細菌・腸内フローラに精通。腸活×菌活を活かした美肌・エイジングケア治療にも力を注いでいる。日本消化器病学会専門医・日本消化器内視鏡学会専門医。その美肌から「むき卵肌ドクター」の愛称で親しまれている。
Instagram : @_kudo_aki_
note : @kudou_aki
HP : 工藤あき official site
-
ライター
田口 拓矢北海道の網走という田舎町から上京後、放送作家としてバラエティ番組を中心に約10年活動。業界特有の『不健康生活』という名の”劣悪監獄”から脱獄を目指し、様々な健康法を日々チャレンジ中!
記事をシェア