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腸を良い状態にすることで体が元気になるテクノロジー

理由もなくイライラしたり、不安や落ち込みが続くことはありませんか?
その不健康なストレスを改善するカギは、意外にも「腸」に隠されているのかもしれません。
腸内環境を整えることで、メンタル面での不調が改善されることが最新の研究で明らかになっています。

メンタルヘルスのカギは腸にある!?

メンタルと腸、そして腸と脳はどのようにつながり合っているのでしょうか?
「実は、メンタルヘルスと腸はとても深く繋がっています。日常シーンの中でも、緊張している時にお腹が痛くなってトイレに駆け込む、といったシーンを経験したことがある人も多いかもしれません。これはまさに脳で感じたストレスが腸に影響を与えている最たる例です。脳と腸が繋がっている、このことを『脳腸相関』といいます」(管理栄養士・志田結 先生)

管理栄養士の志田結先生は、メンタルの健康のために、この『脳腸相関』の作用を理解することがとても重要といいます。

そして、最近よく聞くようになったのが「腸は“第二の脳”」という言葉。腸が第二の脳と呼ばれるのにはどのような理由があるのでしょうか?
「その理由は、腸が持つ他の臓器とは違う特徴にあります。腸という臓器は独自の神経ネットワークを持っており、脳からの司令がなくても独立して活動できるという特徴があります。人間の臓器は基本的に脳からのメッセージを受けて機能していますが、腸だけは脳からのメッセージがなくても自発的に機能することができます」(志田先生)

さらに志田先生は、腸にまつわる興味深い“説”を教えてくれました。それが『腸は“第二の脳”じゃなく、むしろ“脳のはじまり”なんじゃないか』ということです。
「実は地球上の生き物で、脳のない生き物はいますが腸のない生き物はいません。クラゲやイソギンチャクなどの原始的な生き物は、腸はあるけど、脳はありません。これは進化の過程において、まずは腸が生命活動の要になっていた、という証でもあります。脳のない生物にとっては、“第二の脳”どころか、むしろ“第一の脳”といっても過言ではないかもしれません」(志田先生)

それだけ腸は生き物が生きる上で重要な臓器の一つなのです。そしてこの腸と脳の関係性が、日常のメンタルヘルスにつながっているといいます。

腸を整えてメンタル改善!腸活が気分を向上させる理由とは?

腸は、自律神経・ホルモン・腸内細菌を通じて常に脳と情報をやり取りしている臓器。独立して機能できるほど高度な神経ネットワークを持っているため、その状態は脳にも大きな影響を与えます。
「腸の不調が脳にストレスを与え、メンタルが不安定になる。さらにそのストレスがまた腸内環境を乱す……という“悪循環”に陥りやすくなるのです」(志田先生)

つまり、腸内環境を整えることがメンタルヘルスへの近道というわけです。

「脳と腸の両方で分泌される“セロトニン”という幸せホルモンがあります。このセロトニンは、脳では、気分を安定させたり、睡眠に関わったりする役割があります。一方、腸では腸の動きをコントロールする指令に使われています。腸内細菌の多くは、食物繊維をエサに“短鎖脂肪酸”をつくります。その短鎖脂肪酸が腸の細胞を刺激することで、セロトニンが産生されるといわれています。セロトニンが、腸のぜんどう運動を活発化させて排便リズムを整える働きがあるため、結果として腸内環境が整い、脳にも良い影響を与えてくれます。」(志田先生)

この数珠つなぎのような仕組みこそ、健康なメンタルを保つうえで大切な流れで、心と腸の“好循環”なのだといいます。

管理栄養士監修!腸を整えるチョーGOODな食生活!

良質な腸内環境を維持するには食物繊維や発酵食品を適切に食べることが重要といいます。志田先生に食物繊維や発酵食品をたっぷり使った腸に良い『チョーGOODレシピ』を教えてもらいました。

\発酵&食物繊維で“W腸活”/

塩麴で菌を“補い”、玉ねぎ・しめじ・トマト・オリゴ糖で菌を“育てる”。短鎖脂肪酸の産生も後押し!

腸内フローラの活性化にぴったりな絶品おかず!

【材料】(2人分)
  • 鶏もも肉:250g 
  • 塩麴:大さじ2
  • 玉ねぎ:80g 
  • しめじ:100g 
  • オリーブオイル:小さじ2 
  • カットトマト缶:1缶(400g)
  • オリゴ糖:小さじ2 
  • にんにく:1片
  • パセリ:適量 
  • 粉チーズ:適量
  • コンソメ:小さじ1
  • 塩:少々 
  • 黒こしょう:少々
【作り方】

【下準備】
鶏もも肉…余分な水気をペーパーでふき取り、一口大に切る
塩麴を加えて馴染ませ、使用直前まで冷蔵庫に入れておく
玉ねぎ…薄切り
しめじ…根本を取り除き、小房に分ける
にんにく…みじん切り

  1. 鍋にオリーブオイル、にんにくを入れ、香りが出るまで弱火で加熱する
  2. 玉ねぎ、しめじを加えて中火で炒める
  3. しんなりしてきたら、鶏もも肉を加え両面焼き色をつける
  4. トマト缶、オリゴ糖、コンソメを加え、フタをして中火で8分煮込む
  5. 塩、黒こしょうで味を整える
  6. 器に盛り、粉チーズ、パセリをのせて完成。

\しょうゆ麹と野菜で、腸がごきげんに/
発酵調味料(しょうゆ麹)で“補菌”、玉ねぎとアボカドで“育菌”。
発酵×野菜×オイルのバランスがよく、腸内環境をじんわりサポートしてくれる簡単副菜!

【材料】(2人分)
  • 海老(むきえびでも可):150g 
  • アボカド:1個 
  • 玉ねぎ:1/4個
  • クリームチーズ:50g 
  • マヨネーズ:大さじ1/2 
  • ハーブミックスソルト:お好みで
  • レモン果汁:大さじ1
  • 【A】酢:大さじ1、しょうゆこうじ:大さじ1、オリーブオイル:大さじ1/2
【作り方】

<下準備>

玉ねぎ…繊維に逆らった2~3mm幅の薄切り

ポリ袋に切った玉ねぎ、A】を加えてもみこむ ⇨ 【B】

アボカド…皮と種を除き、一口大に切り、レモン汁で和えておく

海老…塩ゆでして、水気を切っておく

  1. ボウルにクリームチーズ、マヨネーズを加えてなめらかになるまで混ぜる
  2. そこに下準備で作っておいた【B】を加えてさらに混ぜる
  3. アボカド、茹でた海老を加えて混ぜる
  4. 器に盛り付けて、お好みでハーブミックスソルトをかけて完成

\ねばねば食材が腸に効く!/
水溶性食物繊維たっぷりのオクラ&めかぶで“菌”をグングン育てる!
腸をホッとさせる、やさしさ満点の“腸活スープ!

【材料】(2人分)
  • めかぶ(味付き):1パック 
  • オクラ:2本 
  • えのき:10g 
  • 卵:1個
  • 水:180ml 
  • 鶏がらスープの素:小さじ1
【作り方】

<下準備>
卵…よく溶いておく
オクラ…ヘタの部分を取り除き、輪切り
えのき…いしづきを除き、長さを半分に切り、ほぐす

  1. 耐熱のボウルにオクラ、えのき、水、鶏がらスープの素を加えて電子レンジ600wで2分加熱する
  2. 溶いた卵と、めかぶを加えて更に600wで1分加熱する
  3. 良くかき混ぜたら完成

管理栄養士が喚起!もったいない食習慣とは?

日常でやりがちな習慣、実はそのままだと腸活にとって“効果半減”かもしれません──。
志田先生が指摘するのは2つのNG習慣。

👉 味噌汁の“ぐつぐつ煮”はNG!
「発酵食品は加熱しすぎると、腸に良い菌が熱で死滅してしまいます。味噌汁は特に、煮詰めすぎると風味も菌も台無しに。加熱はほどほどにしましょう」(志田先生)

👉 空きっ腹にヨーグルトはNG!“食後”に食べて菌を腸に届かせる!
「空腹時は胃酸の濃度が高まっているため、ヨーグルトに含まれる菌が生き残りにくいんです。せっかくの発酵食品、効果を最大限に活かすなら、胃酸の濃度がやわらいだ“食後”に食べるのがおすすめです」(志田先生)

まとめ:

✅メンタルの健康を保つには腸内環境を整えることが重要
✅腸活で腸内細菌を増やし、セロトニンなどの有益な物質の生成を促す
✅日々の食事に少し気を配るだけで、脳と腸の相乗効果を高め、心身共に安定した毎日を送れる

腸内環境を改善することは、脳内環境やメンタルヘルスの向上にも直結しています。日常的に腸活を取り入れることで、ストレスに強く穏やかな気持ちを維持できるでしょう。毎日の食事を工夫して、脳と腸の良好な関係を築きましょう。

今回教えてくれたのは…

  • 株式会社サイキンソー 管理栄養士 : 志田結

    保育園や健診クリニック、特定保健指導業務を経て株式会社サイキンソーに入社。腸内フローラ検査を受けた方への腸活相談サービスの立ち上げや医療機関向けサポート業務に従事。個別相談やセミナー登壇の実績も多数あり、腸内細菌の可能性や奥深さを広く発信している。

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キーワード
  • ライター

    田口 拓矢

    北海道の網走という田舎町から上京後、放送作家としてバラエティ番組を中心に約10年活動。業界特有の『不健康生活』という名の”劣悪監獄”から脱獄を目指し、様々な健康法を日々チャレンジ中!

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